
これまではアメリカ留学する方法を語ってきました。もっと言うなら、全額免除でアメリカ留学する方法を語ってきました。
今日は趣を少し変えて、「アメリカ留学はどのようなものか」を書いてゆこうと思います。
実は、僕、ジェネラルな意見は言えないかもしれないです。
というのも、一般的に海外留学って言えば、その9割は語学留学をさすでしょう。表面上は留学でも、あっち行ってやることは極論、英語の勉強だからです。
現地人でさえヒーヒー言っているのに、僕らが学問をするなんてまず不可能です。
でも、僕は英語を一切勉強しませんでした。
だからですね、英語力という観点から言うと「僕、英語力ちっとも伸びませんでした」って大げさじゃなくそう言えます。
だから以下の記事は海外留学に語学留学以上の“何か”を求めている人用の記事なんですね。
ちなみに、僕はアメリカでもCSIS=computer science information systemに強い、ネブラスカ州立大学を選びました。州立大学なので、日本の国立大学にあたります。
学生!お前クビ。
とにかく勉強しない学生はクビになる。だから、必死に“algebra calculation(計算)”や“artificial intelligence(人工知能)”といった法学部からかけ離れた分野を1日中、そう文字通り1日中勉強していました。
英語じゃなくてコンピューターサイエンスの勉強をしていたんです。
以下は、僕が奨学金を頂いた機関のうちの一つに提出したドキュメントです。この中にアメリカ留学で何を得たかが詰め込まれているので、ちらっと読んでみて下さい。
「学習成果に関するレポート」
本来法学部である私が、なぜ正反対とも言える理系のコンピューターサイエンスを学ぶのでしょうか。その動機は二つあります。一つは、将来仕事をする上で テクノロジーの知識は有益であると思ったこと、もう一つは、テクノロジーが普及した世の中をコンピューターサイエンスの視点から見てみたいと思ったことでした。合計で 28credit の授業を受講し、いずれもがすばらしい授業だったことは間違いないのですが、以下では特に印象深かったものをピックアップしました。具体的成果は以下の3つとなります。
1. コードが書けるようになった
英語よりも日本語よりもプログラミング言語と触れ合う時間が圧倒的に長かったため、当然と言えば当然かもしれませんが、コードが書けるようになりました。ギークのようなスーパープログラマーの足下にも及ばない私ですが、それでもコードが書けるようになったことは今後の人生において大きなアドヴァンテージになります。これまで表現したいことがあっても表現手段としては言葉しか持ち得ていませんでしたが、今はコードを書いて頭の中のアイディアを形にすることができるようになりました。
2. done is better than perfect
done is better than perfect は Facebook の社内キャッチフレーズです。あらゆる状況にこの標語は当てはまるのですが、例えばコードを書く際は、個別の問題に始終するのではなく、取り敢えずラフ案でもいいので、最後まで書き上げてしまいます。終わらせることの利点は、レスポンスが受けられることです。コードを書き上げると、エラーという形でレスポンスが返ってくるので、具体的にどこがいけないかという問題意識を持ちながらコードを書き直すことができます。完璧を目指す気骨は素晴らしいですが、終わらせないことにはレスポンスが返ってこないので、どこが悪いか分からないまま進まねばなりません。これではいい物を作り上げたとしても時間がかかりすぎてしまい、出来上がったときには需要がないかもしれません。その典型は宿題や課題です。どれだけ完璧な宿題を仕上げたとしても締め切りを過ぎた物は評価の対象になりません。私が常に心がけていたことは、多少雑でもいいので、どんどんと課題を終わらし前に進むことでした。コンピューターサイエンスのビギナーである私がアメリカの大学で全ての授業でビハインドなく付いていく唯一の手段だったように思えます。コードを書く際に心懸けていた意識ではありますが、この意識は生活全般、人生全般にも役立つと自負しております。
3. 寝かせることの重要性を知った
この三つ目の成果は、二つ目の done is better than perfect と強く関連があります。結果論的に分かったことではありますが、寝かせることはとても重要です。ここでいう、寝かせるとは、問題から離れることを意味します。前述の通り、畑違いの分野で、しかも英語でなされる全ての授業についてゆくためには、止まることは許されません。分からなかったら止まらず、次の課題に移らねばなりません。ただ不思議なことに一週間後、同じ問題を解こうとするとスラスラと解けたり、解決の意図となるアルゴリズムをあるときふと思いついたりすることが多々ありました。脳科学の専門ではありませんが、おそらく、脳は常に問題を解き続けているのだと思います。例えシャワーを浴びていても、他の宿題をやっていても、友人と話していても、問題を解く鍵となる何かを探し続けているのではないでしょうか。問題を寝かせることの重要性を知ってからは、常に宿題をもらった瞬間から宿題に取りかかるようにしました。すぐに宿題に取りかかり、解決策が分かればその場で回答し、分からなければ寝かすというルーチンを心懸けました。この発見は、日々の生活にも応用可能です。一見、解決不可能に見える大きな問題に直面しても、悩み続けるのではなく、一度寝かせてみるのも手かもしれません。私事にはなりますが、今回ようやく手にした留学への切符ですが、これまで四度の挑戦をし、三度失敗しました。諦めることなく、必ず留学をしてやるという強い意志を持ち、常に頭の片隅に留学という文字を寝かせておくことで、3年間私の頭は留学に行く方法を探し続けていたのかもしれません。同様に、これまで能力や自信が足りなくて諦めてきた数々のことも、今なら解決できるかもしれません。それらは「諦め」ではなく、「寝かせた」と解釈を変えることで、もう一度挑戦しようと強い気持ちも湧いてきます。大げさではありますが、コンピューターサイエンスで得た成果はプログラム等の小手先の技術というよりは、人生をうまく生きるコツだったような気がします。
とまあ、かっこよく書き上げた文章ですが、これ本当に心がけていたことなんですね。
で、これを書き上げた2週間後、アメリカ中の大学院生が参加するプログラミングコンテストで、日本人初かつネブラスカ州から初めて入賞者が出たのですね。
僕なんですね。
ま、そういうことです。笑